『サイコロジー・オブ・マネー』を読んだ。

お金についての本だけど、「どうやって株で儲けるか」とか「どうやってお金持ちになるか」という手法の本ではなかった。

むしろ、お金に対して人間がどういう心理で行動するのか、どういう考え方を持っていた方がいいのか、という本。

お金の本をマインドセットから考えるのが面白かった。

ほとんど失敗しても、一部の成功で十分なのかもしれない

特に印象に残ったのが、投資のリターンは一部の大きな成功によって作られている、という話。

株式市場全体を見ると、すべての銘柄が平均的に成長しているわけではない。

たくさんの銘柄がいまいちな結果に終わっても、一部の銘柄がものすごく成長することで、全体として大きなリターンになる。

Amazonについても似たような話が出てくる。

Amazonはいろいろなサービスや商品を試してきたけど、その中でもPrimeやAWSのような大きな成功が会社全体の成長に大きく貢献している。

これを読んで、投資だけじゃなくビジネスも同じなのかなと思った。

これからTorimelaでアプリやサービスを作っていこうと思っているけど、作ったものが全部成功するなんてことはたぶんない。

むしろ、ほとんどは大して使われないかもしれない。

でも、その中から一つでも大きく使われるものが出てくれば、それで十分なのかもしれない。

そう考えると、「絶対に成功するサービスを考えてから作ろう」とするより、

失敗することを前提に、たくさん試して当たりを見つける

という考え方の方がよさそう。

前に読んだ本でもアウトプットを先にするという話があったけど、ここでも結局トライアンドエラーが大事という話につながってくる。

なので、たくさんサービスを作っていこうと思う。

「理性的」より「合理的」でいい

もう一つ面白かったのが、お金について人は完全に論理的な判断をする必要はない、という話。

数学的に最適な投資方法があったとしても、それを続けることで毎日不安になってしまうなら、本当にその方法が自分にとって正しいのか。

本では、金融を数学的に研究している人であっても、必ずしも数学上もっとも効率の良い方法を選ぶわけではない、という話が出てくる。

最初は少し不思議だったけど、考えてみればその通りだと思う。

そもそも何のためにお金を増やしたいのか。

自分の場合も、最終的にはお金そのものが欲しいというより、お金によって生活の選択肢を増やしたい。

仕事を選べるとか、やりたいことをできるとか、家族との時間を取れるとか。

それなのに、お金を増やす過程でずっと不安になっていたら本末転倒な気がする。

数学的に100点の投資方法ではなくても、

自分が安心して長く続けられるなら、それは十分合理的な投資方法

なんだと思う。

お金で買える一番大きなものは、自由なのかもしれない

読書メモの中でも結構好きだったのが、幸福についての話。

本では、幸福に大きく関係するものとして「自分の人生を自分でコントロールしている感覚」が紹介されていた。

これはかなり納得できる。

高いものをたくさん買えることより、

今日は働くのか。

どんな仕事をするのか。

誰と働くのか。

どこで働くのか。

そういったことを自分で決められる方が、自分にとっては価値がありそう。

お金を貯めたり投資したりする目的も、結局ここなのかもしれない。

たくさん消費できるようになるためではなく、自分の時間を自分で決められるようにするため。

そう考えると、収入を増やすことだけではなく、無駄遣いをしないことにもかなり意味がある。

使わなかったお金は、将来の自分の選択肢になる。

いつでも正しい投資方法なんてない

投資方法についての話も面白かった。

『賢明なる投資家』で有名なベンジャミン・グレアムでさえ、自分が使っていた投資の考え方や公式を何度も変更しているという。

つまり、

「この投資方法さえ覚えれば一生大丈夫」

みたいなものはないんだと思う。

市場も変わる。

企業も変わる。

金利も変わる。

技術も変わる。

当然、それに合わせて投資方法も変わる。

大事なのは、一つの方法を絶対的な正解だと思うことではなく、状況に合わせて変えられることなんだろう。

これは投資だけでなく、仕事やビジネスにも当てはまりそう。

自分が何のゲームをしているのか

これはかなり重要だと思った。

株式投資をしている人でも、全員が同じ目的で投資をしているわけではない。

数分後に売る人もいる。

数日後に売る人もいる。

数十年間持つつもりの人もいる。

同じ株を見ていても、やっているゲームが全然違う。

だから、誰かが

「この株は今すぐ売った方がいい」

と言っていたとしても、それが自分にとって意味のあるアドバイスとは限らない。

短期トレーダーとしては正しいかもしれないけど、20年間積み立てる人にはほとんど関係ないかもしれない。

投資の情報を見るときには、

この人は何のゲームをしているのか?

を確認した方がいい。

そして、それ以上に、

自分は何のゲームをしているのか?

をはっきりさせておく必要がある。

これは投資以外でも同じだと思う。

会社員として出世したい人。

起業して会社を大きくしたい人。

小さな事業で自由に働きたい人。

それぞれ正しい戦略は違う。

他人の成功例を見るときにも、その人と自分が同じゲームをしているのかは考えた方がよさそう。

計画には「間違っても大丈夫」を入れておく

本の中に、

優れた計画には、誤りの余地がある

という考え方も出てくる。

これも結構好きだった。

未来なんて正確には分からない。

むしろ、この本では、大きな影響を与える出来事ほど予測できないという話が何度も出てくる。

だったら、

「この予測が当たれば大丈夫」

という計画ではなく、

「この予測が外れても大丈夫」

という計画にしておく。

投資なら、多少暴落しても生活に困らないようにする。

ビジネスなら、一つ失敗しただけで全部終わらないようにする。

これは最初の「一部の成功が全体の結果を作る」という話ともつながっている。

何回か失敗できる余裕があるから、当たりが出るまで挑戦できる。

Torimelaでも、これを意識したい。

一つのアプリに全部を賭けるのではなく、小さく作って、小さく失敗して、また次を作る。

その中で当たりを探す。

人は変わる

もう一つ、自分の将来を考える上で覚えておきたいと思ったのが、人は変わるということ。

今の自分が考えている「理想の人生」が、10年後も同じとは限らない。

だから極端な計画は避けた方がいいという。

20年間ひたすら働いて、その後に全部楽しむ。

ものすごく生活を切り詰めて、最速でFIREする。

逆に、将来のことは一切考えず全部使う。

こういう極端なプランは、途中で自分の価値観が変わったときに身動きが取れなくなる。

キャリアについても同じ。

今まで10年間やってきたからという理由だけで、その仕事を続ける必要はない。

ここでもサンクコストに引っ張られないようにしたい。

お金について考えるというより、生き方について考える本だった

読み終わってみると、投資の本というより、かなり人生について考える本だった。

どうすれば一番高いリターンを得られるか。

どうすれば一番たくさん稼げるか。

という話より、

自分は何のためにお金が欲しいのか。

どのくらいリスクを取れるのか。

何なら安心して続けられるのか。

自分は何のゲームをしているのか。

そういうことを考える方が重要なのかもしれない。

特に自分が覚えておきたいのは、

失敗することを前提に何度も挑戦すること。

数学的な正解より、自分が続けられる合理的な方法を選ぶこと。

自分が何のゲームをしているのかを忘れないこと。

この3つ。

投資にも使えるし、これからTorimelaで事業を作っていくときにも使えそう。

お金の本だけど、お金以外にも使える考え方がかなり多い本だった。